ヘア・メタルや ポップ・メタルとしても知られるグラム・メタルは、1970年代後半に登場し、1980年代に人気のピークを迎えた音楽ジャンルである。派手で華やかなイメージと、ヘヴィ・メタルと グラム・ロックの影響の融合が特徴である。初期のグラム・メタルは、1970年代のグラム・ロック・ムーブメントから直接発展した。T・レックス、ニューヨーク・ドールズ、デヴィッド・ボウイといったアーティストにインスパイアされたビジュアル要素と、ニューヨークの パンクや ニュー・ウェーブ・シーンからの影響を組み合わせたものだ。このグラム・ロックの美学の融合が、アリス・クーパーや キッスといったアーティストのよりヘヴィでシアトリカルなスタイルと融合し、現在のグラム・メタルというジャンルを生み出したのである。
音楽性
グラム・メタルは、ヘヴィ・メタルの 生々しいパワーと 攻撃性に、グラム・ロックのメロディックな感性を融合させたものである。このジャンルは、アンセミックなコーラス、エネルギッシュなギター・ソロ、シュレッドなリフ、ドライヴ感のあるリズム・セクションを特徴としている。グラム・メタル・バンドはしばしばポップ、アリーナ・ロック、さらにはパンクの要素を音楽に取り入れ、キャッチーで親しみやすいサウンドを作り出している。
グラム・メタルのギター・ワークは、タッピング、ハーモニクス、複雑なソロなど、派手なテクニックを特徴とすることが多い。ヴォーカルはパワフルで高音のものから、メロディアスで調和のとれたものまで様々である。キーボードやシンセサイザーの使用は、音楽にメロディーと雰囲気の層を加える。
テーマ
グラム・メタルの曲は、過剰、快楽主義、パーティー、愛、失恋をテーマにしたものが多い。多くの曲はロックスターのライフスタイルを謳歌し、ワイルドなパーティー、速い車、人生を精一杯生きることを歌詞にしている。恋愛と人間関係もよくあるテーマで、ロマンチックな体験の高揚と低迷の両方を探求している。
グラム・メタルの歌詞は、遊び心があり、毒舌で、時には大げさで、このジャンルの大らかなイメージを反映している。歌詞には逃避とファンタジーの感覚があり、リスナーを魅力、反抗、自由の世界へといざなう。
有名アーティスト
注目すべきグラム・メタルのバンドやアーティストには、Mötley Crüe、Poison、Bon Jovi、Def Leppard、Guns N' Roses、Warrant、Twisted Sister、Ratt、Whitesnakeなどがいる。
Mötley Crüe、Hanoi Rocks、Night Ranger、Ratt、Quiet Riot、Twisted Sister、Bon Jovi、Dokkenなどの初期のグラム・メタル・バンドが音楽シーンに登場した。グラム・メタルは1983年頃から1991年頃にかけて商業的に大きな成功を収め、この時期にポイズン、スキッド・ロウ、シンデレラ、ワラントといったバンドが台頭した。グラム・メタルは、派手でピチピチの服装、化粧、そして全体的にアンドロジナスな美的感覚を特徴としていた。ヘヴィメタルの伝統的な「デニム&レザー」ルックとは対照的に、グラム・メタルはスパンデックス、レース、鮮やかな色彩を取り入れ、その独特で派手なスタイルに貢献した。