2000年代初頭にアメリカ南部で生まれたトラップ・ミュージックは、ヒップホップや EDMの領域で脚光を浴びるようになった。アグレッシブなリズムと 重低音で知られるトラップ・ミュージックは、ラップや クランクからインスピレーションを得ており、そのルーツは都市文化に深く根付いている。トラヴィス・スコット（Travis Scott）、ガンナ（Gunna）、ヤング・サグ（Young Thug）など、現在最もギャラが高く人気のあるトラップ・アーティストが名を連ねている。
音楽性
トラップ・ミュージックの核となるのは、808ベースライン、ハイハット、スネア・ロールなどの特徴である。このジャンルにはシンセサイザー、ヴォーカル・サンプル、エフェクトが取り入れられ、ダークで没入感のあるサウンド・ランドスケープを作り出している。テンポは140～175拍/分（BPM）で、トラップ・ミュージックは脈打つリズムを提供し、トラップ・ビート内のシンコペーション・パターンは、リスナーの心に深く響く緊迫感と激しさを与える。
テーマ
トラップ・ミュージックは、ストリート・ライフ、闘争、成功、回復力にまつわるテーマを掘り下げることが多い。アーティストたちは、都市環境で直面する困難、富の追求、人間関係の複雑さなどを描くことが多い。トラップの歌詞は、ストリートの厳しい現実を反映した、硬質で生々しいものとなる。しかし、障害を克服し、アメリカン・ドリームを目指して努力することを賞賛することもある。さらに、トラップ・ミュージックは快楽主義、パーティー、ハイ・ライフをテーマにしており、クラブやパーティーで広く親しまれている。
有名アーティスト
トラップ・プロデューサー
プロデューサーはトラップ・サウンドの形成に重要な役割を果たしている。Lex Luger、Zaytoven、Drumma Boyといった先駆的なトラップ・プロデューサーは、Gucci Maneや Waka Flocka Flameといったアーティストに象徴的なビートを提供し、このジャンルの基礎を築いた。メトロ・ブーミン、マーダ・ビーツ、サウスサイドといった 現代のトラップ・プロデューサーたちは、革新的で影響力のあるトラップ・インストゥルメンタルを作り続けている。メトロ・ブーミンは現在、トップクラスの報酬を得ているトラップ・プロデューサーだ。彼は21サヴェージのプロデュースで有名になり、特にYouTube再生回数1億8,000万回を超えるヒット曲「X」は記憶に新しい。また、ミーゴスの オフセットや NAVなどのアーティストともコラボし、アルバムをプロデュースしている。
トラップ・ラッパーズ
ラッパーたちはトラップ・ミュージックの普及に大きな役割を果たした。T.I.、Young Jeezy、Gucci Maneといったアーティストはトラップ・ラップのパイオニアとして知られ、トラップ・ビートに独自のスタイルをシームレスに融合させてヒット曲を生み出した。近年では、フューチャー、ミーゴス、トラヴィス・スコット、リル・ウージー・ヴェルトといったトラップ・アーティストの新しい波がメインストリームで成功を収めている。
EDMにおけるトラップ
トラップの影響はヒップホップだけにとどまらず、EDMシーンにも浸透している。RLグライム、バウアー、フロスストラダムスのようなEDMプロデューサーはトラップの要素を取り入れ、トラックに重低音のドロップや トラップスタイルのパーカッションを組み込んでいる。このトラップとEDMの融合は、「EDMトラップ」として知られるサブジャンルを生み出し、世界中のフェスティバルやクラブ・サーキットで人気を博している。
